先日、ビタミンCの花粉症に対する効果を述べさせていただきました。今回は花粉症治療の新しい切り口として、グルタチオン及びαリポ酸の効果の可能性について述べさせていただきたいと思います。
グルタチオン・αリポ酸とは?
皆さんはグルタチオンやαリポ酸ってご存じですか?ともに強力な抗酸化作用を有する物質です。
抗酸化作用
簡単に言うとわたくしたち人間は有酸素呼吸をしないとエネルギーの獲得ができません。つまり、酸素がないと生きていくことができないのです。
そういった意味で酸素はわたくしたち人間にとって不可欠なものですが、これにより我々は酸化します。酸化とは、簡単に言うと鉄が酸素で錆びつくようにわれわれ人間も錆びつく、というイメージです。人が錆びつくとは、簡単に言うと老化が進む、ということです。
生きていくうえで必要な有酸素呼吸のために酸化=老化が進むなんて皮肉です。ここで老化に対抗する=アンチエイジングという考え方が生まれ、さらには抗酸化物質という治療方法の概念も生まれるわけです。
脱線しました。花粉症治療に戻します。強力な抗酸化作用を持つグルタチオン、αリポ酸がどのように花粉症に効果を示すのか。抗酸化物質としての花粉症に対する効果については、既出のビタミンCの効果をご参照ください。
グルタチオンは芸能人のビヨンセさんに美肌効果があったと報道されたことから「ビヨンセ点滴」または「白玉点滴」という別名で、美白効果のある美容治療の資材としてよく知られています。
免疫について
ここで、免疫についてちょっと専門的なお話を。
免疫に関与するリンパ球のヘルパーT細胞には、Th1細胞とTh2細胞とがあります。Th2細胞が優位になると、Ⅰ型アレルギー(花粉症、気管支喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎など)が増悪します。
もう少し詳しく言うと、花粉症などで苦しんでいる状態はTh2細胞優位であり、Th2細胞からサイトカインのIL-4が過剰に分泌され、B細胞にIgE抗体を作るよう指示を出します。IgE抗体はマスト細胞(mast cell)に働き、抗原(スぎ花粉など)と反応するとヒスタミンなどの化学伝達物質を放出し、花粉症や気管支喘息などのアレルギー反応を引き起こすのです。ここで、グルタチオンが少ないと、Th2細胞優位となり細胞の炎症が酷くなります。
炎症が酷くなると、本来攻撃しなくてもよいターゲットに対しても免疫学的な攻撃を行うように免疫反応の暴走がおこります。グルタチオンが十分な量存在するとTh1細胞優位となり、免疫の暴走が起こらないようになります。
一方のαリポ酸について。ダイエット治療の資材として美容系領域では有名なαリポ酸ですが、花粉症に対する効果も期待できます。そのメカニズム場は、抗酸化反応で失活したグルタチオンや、既出のビタミンCをいわゆる「リサイクル」するのです。
以上の機序でグルタチオン、αリポ酸による花粉症に対する働きが期待できるわけです。
当院の点滴治療
当院では、グルタチオン、αリポ酸の点滴治療を行っています。ともに美容の面からの効能が先行しがちですが、スギ花粉症治療の一法として一度ご検討いただければと思います。もちろん、従来通りの内服・外用薬による花粉症治療も行っております。
※グルタチオン・αリポ酸による花粉症治療は保険診療対象外となります。ご承知ください。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
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