スギ花粉症に効果が期待できる点滴治療として
・高濃度ビタミンC
・グルタチオン
・αリポ酸
を取り上げてまいりましたが、いずれも保険適用ではなく自費診療でした。今回、スギ花粉症に対して保険適用のある注射療法をいくつかご紹介いたします。
ヒスタグロビンによる花粉症治療
ヒスタグロビンとは
ヒスタグロビンは、ヒスタミンと免疫グロブリンを合わせた、1967年に国内で発売された安全性の高い治療薬です。花粉症の症状だけでなく、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、スギ花粉やダニ・ハウスダストなど、さまざまなアレルギー症状の改善に効果が期待できます。
このヒスタグロビン注射は「非特異的減感作療法」と言われ、特定のアレルギー原因物質(スギ花粉など)に対して感受性を低下させる「特異的減感作療法」とは異なり、アレルギーの原因に関係なく、アレルギー体質を改善する効果が期待できます。
スギ花粉症以外にも、気管支喘息、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎などの疾患に有効で、有効率は50〜70%と言われています。また、ステロイド注射とは違い副作用が極めて少ないこともポイントです。
適用
ヒスタグロビン注射は週に1〜2回程度の間隔で受診していただき、3週間続けることで効果が期待できます。通院が困難な場合は、効果が不十分になってしまいます。原則、毎週通院していただける方が対象となります。
また、月経前、月経中の方はアレルギー症状が強まるため、ヒスタグロビン注射を実施できません。生理周期のタイミングを考えると、注射の時期を合わせるのは困難ですので、男性のほうが向いている治療と考えられます。
スケジュール
花粉症の症状が出現したら、ヒスタグロビンを皮下に注射します。成人の場合、通常1回1バイアルを週1~2回で計3週間(1クール)行います。1クール3週間の間に3~6回投与します。
効果が十分にあらわれない場合には、さらに1クールの注射を行います。この場合、1回投与量を最高3バイアルまで増量することができますので、症状をみながら増量を検討します。当院では1回投与量は2バイアルまでで実施しています。効果が認められたら、維持療法として注射を行っていきます。
注意
- 生ワクチン(麻疹・風疹・おたふくかぜ・水痘ワクチン)の効果獲得に影響を与える可能性があるためヒスタグロビン注射を行ってから生ワクチンを接種する場合は最低3~4カ月あける必要があります。同様に、ワクチン接種から最低2週間あける必要があります。
- ヒスタグロビンの治療を受けたことがある患者さんは献血ができなくなります。
禁忌
- 過去にヒスタグロビン注射を打ってショックの既往歴がある方
- 喘息の激しい発作がある方
- 月経前後の方
- 妊娠中、妊娠の可能性のある方
- 衰弱されている方
ご検討ください
抗ヒスタミン薬など内服薬で花粉症の症状が改善されない方は、ヒスタグロビン注射を検討してみてください。全てのアレルゲンに対してのアレルギー反応を抑える治療法で、血液検査で非特異的IgEや好酸球が極めて高い方などに良く効きます。ヒスタミン抑制効果が強いので、禁忌でない方にはオススメです。
また、ノイロトロピン注射との併用も有効です。
追記
俗にいう皮膚花粉症のような皮膚掻痒症(いわゆるかゆみ)に対してグリチルリチン製剤(「強力ネオミノファーゲンC」等)は保険治療の適用があります(以前より「蕁麻疹」治療薬、また肝庇護剤として有名です)。ご検討ください。
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