多い、多い、と言われ続けてきた今年のスギ花粉飛散量ですが
ラニーニャの影響で気温が低い日が続いたため
なかなかスギ花粉症患者さんの本格的な増加を認めませんでした。
しかし・・・
昨日の気温の上昇で
とうとう本日は強い花粉症症状の患者さんが何人か外来にお見えになりました。
かく言う私も29歳のときから発症し毎年この時期はとても憂鬱になる
なかなか年季の入ったスギ・ヒノキ花粉症患者の一人です。
一時減感作療法を数年間行い症状の劇的な改善を認めたのですが
開業後は忙しくて減感作療法を中断したところ
治療開始前の状態に完全に逆戻り。
開業した平成17年春のシーズンは
ここ最近では一番スギ花粉が飛散した年でしたが、
駐車していた車のフロントガラス一面に花粉が沈着して
前方の視界がほぼ完全に遮られ真っ黄っ黄状態。
しかもこのとき初めて知ったのですが
この花粉、粘着力が強くて
ウィンドウォッシャーを使ってワイパーをかけても
ちっとも剥がれ落ちません。
こんなものが鼻の奥の粘膜や
目の結膜にくっつくのかと思うと
ぞっとしたのを今でもはっきり覚えています。
今年もそれに似た状況になるのかと
昨年のうちから一人の患者として戦々恐々としていたのですが。
で、治療法の話です。
古典的ですが
やはり内服薬・点眼薬・点鼻薬の三者併用療法が
効果と安全性の点からもっともリーゾナブルと判断しています。
内服薬は多くの種類が発売されていますが、ざっとまとめると
一日の服用回数が多い薬剤ほど
効果も強いが眠気も強い、
と言うことになります。
このため、眠気を気にされる方は
一日一回服用タイプの薬剤を選択し
症状の強いときには
より効果の強い抗ヒスタミン剤や少量のステロイド剤の
短期間の併用を薦めています。
なお、非常に勘違いされる方が多いのですが、
妊婦・授乳婦さんでも服用できる内服薬は
効果と眠気の強さの兼ね合いにあわせていくつかありますので
ご希望にあわせて処方しています。
点眼薬は、症状が強ければステロイド点眼薬、
症状がそこまで出なければ抗アレルギー点眼薬を使用しています。
点鼻薬は局所投与なので全身への影響が無いとの判断から
最初からステロイド点鼻薬を使用しています。
時々、今でも
「注射治療はしないのですか」との質問を受けることがあります。
おそらくはある種のステロイド剤の大量筋肉内注射療法のことだと思います
確かにこの方法は花粉症症状には抜群に効果があります。
ただし、膠原病みたいな難病の治療にも使用するようなステロイド剤の大量投与です。
考えただけでも血糖値上昇・胃潰瘍・不眠と言った副作用が
容易に想像できます。
本日いらした女性患者さんの話では
以前この治療を受けた後に
不正出血が出現したとのことです。
お勧めいたしません。
鼻炎症状に対するレーザー治療が最近注目されています。
この治療に関する詳細はご専門の先生に譲りますが、
正常組織を毎年焼却処理する、と言う状況は
ひどい皮膚やけどのあと15年位してから
皮膚がん(有棘細胞癌)が発症する可能性がある、と言う事実を考えると
現時点では自分自身がこの治療を受けるのは二の足を踏みます。
1月に入ってから
起床時に娘が鼻炎症状をきたすようになったので
抗アレルギー剤の内服を開始したところ
症状の劇的な改善を認め快適そうです。
ただし、以前に別件で血液検査を行った際
アレルギー検査もあわせて行ったのですが
検査した項目でアレルギー反応はすべて陰性でした
ある統計によればアレルギー検査の精度は
血液検査で50%
皮膚検査で70%
だそうです。
以前検査で陰性に出てしまった方でも
毎年、あるいは今年になって初めて
この時期に鼻水・鼻づまりや目のかゆみを感じるなあとおもったら
どうぞご相談を。
最後はしっかり営業トークになってしまいましたが。
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