「そろおんせん」と読みます。
千葉の鴨川にあります。
偉そうに言ってますが、その存在を知ったのはつい最近。
たまたま立ち寄った寿司屋の大将から教えてもらいました。
初めて行ったときは娘と二人鴨川に遊びに行った時でした。
行ってみたら畑のあぜ道に毛の生えたような細い道のどん詰まりに
ひなびた湯治場といった趣でありました。
お風呂は狭い内風呂が男女一つずつ、
湯船はせいぜい大人3人が入ればいっぱい、
壁や天井の塗装は剥がれ掛け、
お湯は真っ黒で温泉成分が浮いていました。
「こりゃ失敗しちゃったな。」
娘に申し訳なく思いながらお湯につかろうとしたら・・・
まあ熱いこと!!
「あちちち。」
そういって娘はすぐに湯船から這い出ました。
水で薄めてはみたもののやはりそれでもまだ熱い。
仕方なく熱いままお湯に浸かっておりました。
娘はお湯から出て洗い場でお湯遊びをしています。
しばらく浸かっておりますと・・・
とんでもなく汗が噴き出してきました。
これはたまらんと、体洗いもほどほどに
父娘共々着替えを済ませ大広間に移動しました。
頃は3月末でまだ寒い時期でしたが
しばらくたっても体が一向に冷えないどころか
いつまでもじっとりと汗ばんできます。
最近年齢のせいか
あれほど汗っかきだったのにとんと汗をかかなくなっていたのですが、
とにかく体が楽でした。
「もしかしたら名湯なのかもしれないな。」
アイスを食べながらテレビを見ている娘の横でそんなことを思っていたら
そばに座っていた50歳代くらいのお父さんが話しかけてきました。
「1回しか入らないの?もったいないよ。俺は2回入ったよ。
ここは傷に良いっていうんで戦後の負傷兵の湯治場だったところなんだ。」
へええ。
「それにしても娘はいいね。優しいからさ。
俺には娘も息子もいて二人とも独立しちゃったけどさ、
なんだかんだこっちに気づかいしてきてくれるのは娘だよ。
息子もそういう気持ちは持っているんだろうけどさ。」
「二人ともいなくなってどうですか?自由でいいですか?」
「うーん、やっぱりさびしいかな。」
寿司屋の大将、初めは「失敗したかな」なんて思ってしまってごめんなさい。
温泉でお会いしたご主人、父親の先輩として貴重なご意見ありがとうございました。
楽しい思い出を抱えたまま
先月、今度は親子3人で再度曽呂温泉に行ってまいりました。
妻は「名湯だ」と喜んで計3回もお湯に浸かり、ゆでだこの様になりながら
そのあと行ったお店で地魚をたらふく食べてフーフー唸ってました。
娘は温泉のお孫さんと仲良くなって受付の中に入り込んで
お菓子と飲み物をごちそうになったとのことです。
ご迷惑をおかけいたしました。
僕はと言えば、
いつか年をとった時に
こんな場所でゆっくり温泉に浸かりながら新鮮な魚を毎日食べられるような
老後を過ごせたら幸せだなあと想像していたのですが
「うーん、やっぱりさびしいかな。」とおっしゃっていたあのご主人の言葉が
無意識のうちに頭の中で何度も響き
今一瞬のこの幸せな光景ががどうか永遠のものでありますようにと
願わずにはいられませんでした。
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