夏休み

少し前の話になりますが、6日から11日まで夏休みをとりました。
そうとは知らずに御来院された方、ごめんなさい。

例年、どこかに泊りがけで出かけていたのですが
考えてみたらそれまで職場と自宅の往復だけの毎日で
自宅近くにどんなお店があるのかさえほとんど知らなかったこと、
ここ数年来溜まってきた疲れがピークに達していたことから
妻と相談の上、今年は自宅でゆっくりしながら
近所を散策する夏休みにすることにしました。

オリンピックがあったこともあり
普段はあまり見ないテレビを夜遅くまで見ながら
翌日はお昼近くまでゆっくりと寝た後は
毎日お店をを変えながら
近くの居酒屋さんで家族全員で連日ランチをとりました。

居酒屋さんですからメニューもお客さんも
普段子連れで行くようなお店とは明らかに違います。
「今日はどこ行くの?」と娘は興味津々のようでした。

こちらとしても
いつものように限られた時間に追われるようにして
早く食べるようにと娘を急かしながらとる食事と違い
おしゃべり好きな娘の言葉にずっと耳を傾けながら
余裕ある態度で接している自分に
リフレッシュできていることを実感して満足感を感じる一方
普段こんなにゆっくりと対応してあげられなかったことを申し訳なく思いました。

そんなゆとりある雰囲気を子供ながらに娘も感じたのでしょう。
いつにもまして嬉しそうにたわいのないおしゃべりが続きます。
おかげで親子丼1杯を食べるのに2時間かかりました。
「もういい加減早く食べてしまいなさい。」
結局最後はいつもの発言になってしまいました。

ランチの後は映画です。
夏休み初日は以前から気になっていた「マダガスカル3」を見ることにしました。
なんで気になっていたか・・・
CMで放映されていた柳沢慎吾さんのアフレコぶりがあまりにも面白かったので。
個人的にはこの方の芸達者ぶりは天才だと以前から思っておりますが。

話が横道にそれました。
入場すると今話題の3D映像とのことで専用メガネを早速渡されました。
で、会場が暗くなり予告編から映画が始まると
娘と妻の笑い声をそばで何となく感じながら
終始居眠りしていました。

映画はだめだ・・・
暗いとたまった疲れがいっぺんに出てしまう・・・。

ところが娘は映画がいたく気に入ったようで
その後も休み中はあと2本見ました。
勿論妻と娘だけで。
僕はその間自宅に戻り、たまった雑用を片付け
時間が来たら車で迎えに行ったという次第。
結果として娘は映画をたくさん見れたことに満足し
僕としても自分のペースで空いた時間に雑用をこなせたという満足感で
お互いにハッピーだったわけで結果オーラいといったところ。
もっと言えば妻は昼食の支度を一度もせずに済んだので
いい奥さん孝行ができたなあとこれも少し自己満足。

妻に関してもっと言えば
彼女はこの休み中に誕生日を迎えたのですが
当日は疲れていたらしく
ランチから帰ったら昼寝を始めピクリとも起きません。
これ幸いにと娘を誘い出し
妻に内緒で予約していたバースデーケーキをとりに行くついでに
バースデーパーティーにふさわしいと自分なりに判断した惣菜を一通り買い揃え
既に用意していたバースデーカードを娘と二人で書いたら
テーブルの上に料理を用意した後で
妻を起こして家族3人仲良くサプライズパーティーとなったわけです。
不意のことに妻はとても喜んでくれたようですが
それよりもサプライズな演出に自分も企画参加できたことに
娘も満足だったようで終始はしゃいでいました。

「これも時間のゆとりがあるからできたことだなあ。」
旅行に行かずに自宅でのんびりと過ごそうと決断してくれた妻に感謝です。

そんなごくありふれた、でも僕にとってはとても贅沢な時間は夢のようにあっという間に過ぎました。

夏休み最終日の夜、ベッドに入る前に娘に言いました。
「夏休み、とっても楽しみにしてたんだよ。
おかげでとっても楽しかった。どうもありがとう。
今日でパパとの夏休みは終わりなんだ。
明日から仕事だけど、頑張るからね。」

それまで機嫌良くしていた娘が突然号泣し始めました。

忙しさの為普段あまり気持ちの上でそばに感じることのできない父親の存在を
身近に感じることができたこの数日間の娘の気持ちが痛いほど理解できたので
もらい泣きしそうになるのを必死にこらえながら
彼女の顔を正面に見据えて抱きしめてあげるのが精いっぱいでした。
何の外連味もない愛らしい瞳で真っ直ぐにこちらを見つめています。
言いたいことを押し殺してでもいるかのように。

少し落ち着いたあと、床に座った娘が向こうを向いて
カーペットを手持ち無沙汰に指でなぞりながら触っています。

「また遊ぼうね。」

呼びかけても返事はありません。

「また遊ぼうね。」

もう一度呼びかけてもやはり返事はありません。
小さな背中が小刻みにプルプルと震えています。
その姿を見つめながらこちらも涙をこらえるのが精一杯でした。


その晩はパパと二人で寝たいというので
久しぶりに父娘2人水入らずで床に就きました。

学校の宿題でこの6日間のことを娘は絵日記に書いているようです。
僕にとってこの宝物のような6日間をあとになってまた回顧出来るのかと思うと
それだけでこの絵日記の完成が今からもう楽しみです。
ビデオやカメラでは残すことの出来ない
2012年夏の山内家の夢物語ですから。